2023年のTerraform Cloudのアップデートをまとめてみる
この記事はterraformのカレンダー | Advent Calendar 2023 - Qiitaの8日目の記事です。
2023年のHashiCorp公式のTerraform Cloudのアップデートブログは29本でした。
アップデートを振り返りつつ、個人的に熱かったアップデートをピックアップして紹介します。
2023年 Terraform Cloudアップデート一覧
ピックアップ
Vaultやクラウドプロバイダーに対してOIDCを使った動的なクレデンシャル生成に対応
これまでは、Terraform CloudでAWS,Azure,GCPなどにリソースをデプロイする際に、静的なクレデンシャル(AWSだったら、IAMアクセスキー)が必要でした。
静的なクレデンシャルの手動ローテーションは、運用負荷やセキュリティ的なリスクがあります。
このアップデートでOIDCを使って、動的なクレデンシャルを生成できるようになりました。
凄くざっくりいうと、「Terraform CloudでAWS認証にIAMアクセスキーを使っていた部分を、IAMロールに置き換えられるようになった」ということです。
この機能は1月にベータ版で発表され、4月にGAされました。
その後、7月に単一のWorkspace内で複数の構成をサポートしました。(TFC_VAULT_RUN_ROLE_ALIAS1
のように、ALIAS
をつけれるようになった)
Terraform Cloud Adds Dynamic Provider Credentials for Vault and Official Cloud Providers
Dynamic provider credentials now generally available for Terraform Cloud
Terraform Cloud now supports multiple configurations for dynamic provider credentials
[アップデート]Terraform CloudがValutやAWS,Azure,Google Cloudに対してOIDCで動的なクレデンシャル生成に対応 | DevelopersIO
Workspaceをまとめる単位 Projectの追加
Projectという新しい単位が追加されました。Workspaceの上位の単位で、Projectを使用することでWorkspaceをグループ化することができます。
2023年1月にリリースされ、同年4月にvariable setsの適用範囲にProjectを選択できるようになりました。
同年8月には、policy setsの適用範囲にProjectを選択できるようになりました。
Terraform Cloud Adds ‘Projects’ to Organize Workspaces at Scale から画像を引用
Terraform Cloud no-code provisioning is now GA with new features
New customization options for Terraform Cloud projects
[アップデート]Terraform CloudにProjectの機能が追加されました | DevelopersIO
料金プラン変更、課金単位の変更・Freeプランでもセキュリティ系機能が利用可能に
2023年5月にTerraform Cloudの料金プランが変わりました。
主な変更点は以下です。
- 課金単位がユーザー数からResource数に変更
- Freeプランでセキュリティ系機能が利用可能に(SSO、Policy As Code、Run Task等)
課金単位の変更はインパクト大きいケースもあったのではないでしょうか。ちなみに、Resourceについて解説記事を書いていますので、よければご確認ください。
Freeプランでセキュリティ系機能が利用可能になり、検証のハードルが下がりました。
Terraform Cloud updates plans with an enhanced Free tier and more flexibility
[アップデート]Terraform Cloudの料金プランが変わりました Freeプランでもセキュリティ系機能が利用可能に | DevelopersIO
Terraform Cloudの課金単位のResourceについて説明してみる | DevelopersIO
no-code provisioning機能 GA
事前に用意したmoduleに対してTerraform CloudのGUI上から値を渡してリソースを作成できる機能です。
no-code provisioningの機能を利用することで、Terraformの書き方がわからないメンバーでも事前に用意したmoduleを使ってセルフサービスでリソースを作成することができます。
no-code provisioningは2022年のHashiConfで発表されたました。(この時点では、beta)
2023年4月にGAされ、同年9月にモジュールバージョンのアップデート機能がベータで発表されています。
Terraform Cloud no-code provisioning is now GA with new features
Terraform Cloud no-code provisioning adds module version upgrades in beta
[アップデート]Terraform CloudのNo-Code ProvisioningがGAされました | DevelopersIO
ephemeral workspaces機能 GA
Workspaceに削除日を指定することで、自動でWorksapceのリソースを削除する機能です。 (指定時間になるとDestroy用のRunが実行される)
この機能を使うことで検証環境等の、リソース削除忘れを防止することができます。
2023年8月にパブリックベータで発表され、同年10月にGAされました。
Terraform ephemeral workspaces public beta now available
Infrastructure and security releases open HashiConf 2023
[アップデート]Terraform Cloudにリソースの自動削除ができるephemeral workspaces機能が追加されました(パブリックベータ) | DevelopersIO
おわりに
少し早いですが、2023年のTerraform Cloudのアップデートまとめでした。12月分のアップデートは随時更新していきます。
ピックアップしたアップデート以外にも、嬉しいアップデートは色々あります。(ephemeral workspaces,continuous validation,Explorer、OPA Suport GA等)
気になる方は、上記で紹介したHashiCorp公式ブログを読んでみてください。(ついでに、DevIOのTerraform Cloudカテゴリも、読んでもらえると嬉しいです)
2024年のアップデートも楽しみですね。個人的には、Stacksに注目しています。
以上、AWS事業本部の佐藤(@chari7311)でした。